漫画「美味しんぼ」で紹介された農法を開発
東京商工リサーチ 2013/12/24
http://www.tsr-net.co.jp/
野菜本来の旨みを引き出すために原産地の厳しい環境で育てる「永田農法」「スパルタ農法」「断食農法」といった栽培方法が、漫画「美味しんぼ」で紹介されるなど一時、話題となっていた。
今年8月6日、特別清算開始決定を受けた(株)農産振興(TSR企業コード:450072754、浜松市北区初生町352-2、設立昭和48年5月、資本金6000円、代表清算人:永田次郎氏)も、この農法を推進していたことで注目を浴びていた。
今般、同社の関連会社としてトマトなどの野菜を栽培していた(株)ルーツファーム(TSR企業コード:452019141、静岡県菊川市西方6969、設立平成16年12月、資本金300万円、代表清算人:永田次郎氏)は12月6日、静岡地裁浜松支部から特別清算開始決定を受けた。
負債総額は29億6317万円。
平成16年12月創業の野菜生産業者。関連会社を介し通販や直販を行っていたが、業績は伸長性に欠けたうえ当初の設備投資資金も重く、多忙な資金繰りに陥っていたことから24年3月11の株主総会の決議により解散していた。
画期的な農法の開発で有名となったが、実績に結びつけることができず、事業に行き詰った。
東京商工リサーチ
永田農法とは、野菜本来の旨みを引き出すために、原産地の厳しい栽培環境を作り出し、野菜が持つ生命力を喚起するというもの。
永田照喜治(1926年 – )が創始した農法である必要最小限の水と肥料で作物を育てることが特色であり、「断食農法」、「スパルタ農法」、「緑健農法」、「ルーツ農法」など様々な呼び名がある。
wikipedia
ジャガイモ、トマト、ホウレンソウなどの多くの野菜はもともと高原原産であるので高温多湿である日本の気候には本来向かない。そのため、基本的にはビニールハウス内でマルチシートを張って雨風を避け、石交じりの土で作物を乾燥気味に栽培する。肥料および水は、必要最低限の液肥を、葉がしおれた頃合を見て与えるのみである。
作物を常に飢餓状態に追い込むことによって、植物が本来持っている力を最大限に引き出すのが狙いである。
その結果、できた作物は通常販売されている野菜よりもはるかに多くの栄養を持つこと、そして野菜特有のアクが少なくなることなどが実証されている。
また、土中の有機物が少ないので病害虫の被害も少ない。
ここで用いる液肥は化学肥料である点が、有機農法とは一線を画している点である(永田は、堆肥の乱用には批判的である。もっとも、永田農法で用いる液肥と同程度の成分になるように有機肥料のみを用いれば、さらに同農法は改良されうるであろうという意見もある)。
トマトや玉ネギ等の野菜栽培で有名な永田農法であるが、応用例として、すでに米作への導入が行われている。
新潟県中頸城郡吉川町(現上越市吉川区)では、80年代から食米のコシヒカリ、酒米の「五百万石」「山田錦」の永田農法での栽培をスタートさせ、コシヒカリでは魚沼と並ぶ食味を実現させ、酒米では糖度が高く、雑味の原因となるタンパク質の量が低く、心白の大きさや硬度が醸造に最適な品質なものを生産・供給している。
酒米は新潟県内の複数の有名蔵元に出荷されている他、地元の蔵元「よしかわ杜氏の郷」は「地元産永田農法酒米100%の日本酒」を生産している。
「だれでもつくれる永田野菜」というDVDもあるほどなので、家庭菜園で可能なことだったのかもしれない。
スパルタ農法、断食農法と聞くと、想像がつく部分もある。